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住宅ローンの返済方式完全ガイド:元利均等 vs 元金均等、変動 vs 固定金利

Toolsbase編集部
住宅ローン返済方式元利均等元金均等フラット35

住宅ローンの選択は「生涯で最大の金融決定」

持ち家を購入する際に組む住宅ローンは、多くの家庭にとって生涯で最も大きな借入です。住宅金融支援機構の「2023年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」によれば、住宅ローン利用者の平均借入額は3,523万円、平均借入期間は33.0年です。

この規模の借入では、返済方式や金利タイプの選択が総支払額に数百万円単位で影響することがあります。にもかかわらず、これらの選択が何を意味するのかを十分に理解せずに契約している人は少なくありません。

本記事では、返済方式(元利均等 vs 元金均等)と金利タイプ(変動 vs 固定)について、具体的な数値例を交えながら解説します。

元利均等返済 vs 元金均等返済——基本の違い

住宅ローンの返済方式は大きく2種類に分かれます。

元利均等返済(がんりきんとうへんさい): 毎月の返済額(元金+利息の合計)が一定。最も一般的な方式で、民間銀行のほとんどがデフォルトで採用しています。

元金均等返済(がんきんきんとうへんさい): 毎月返済する元金が一定。返済初期は利息が多いため月々の返済額は高くなりますが、返済が進むにつれて利息が減り、月々の支払いが減っていきます。

具体的な数値比較

条件: 借入金額3,000万円、金利1.5%(固定)、返済期間35年

項目 元利均等返済 元金均等返済
初月の返済額 約91,855円 約109,286円
60ヶ月目の返済額 約91,855円(変わらず) 約104,911円
最終月の返済額 約91,855円(変わらず) 約71,726円
総返済額 約38,578,865円 約37,952,143円
総利息額 約8,578,865円 約7,952,143円
利息の差 約626,722円少ない

元金均等返済を選ぶと、元利均等返済と比べて総利息が約62.7万円少なくなります。ただし、初月の返済額が元利均等より約1.7万円高く、返済初期(おおむね最初の14〜15年)は元利均等より月々の支払いが多くなります。

どちらを選ぶべきか:

収入の安定性と将来の増収見込みによって判断が変わります。現在の収入で余裕を持って返済したい場合は元利均等が無難です。返済初期に少し多く払ってでも総支払額を抑えたい場合、または収入が将来的に増える見込みがある場合は元金均等が有利です。ただし、元金均等は取り扱っていない金融機関もあるため、事前に確認が必要です。

住宅ローン計算ツールで、ご自身の条件で元利均等と元金均等の総返済額を比較することができます。

変動金利 vs 固定金利——どちらが得か

住宅ローンの金利には大きく分けて「変動金利」と「固定金利」があります。2026年現在、日銀の政策金利変更を受けた金利動向が注目されており、この選択の重要性は以前にも増して高まっています。

変動金利型

金融機関の短期プライムレートを基準に半年ごとに見直される金利タイプ。一般的に固定金利より低い金利から始まるため、短期的な返済負担は軽くなります。

変動金利の主な特徴:

  • 金利は原則として年2回(4月・10月)見直される
  • 返済額は「5年ルール」により5年間は変わらない(内訳(元金・利息の比率)は変わる)
  • 「125%ルール」により返済額の上昇は前回の125%を上限とする(ただし未払い利息が発生する可能性がある)
  • 過去の金利推移を見ると、変動金利(短期プライムレート)は2024年後半以降に上昇傾向

注意点: 変動金利で組んだ場合、金利上昇リスクを借り手が負います。金利が大幅に上昇した場合、5年ルールがあっても長期的には返済額が大幅に増加する可能性があります。

固定金利型(フラット35を中心に)

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入から完済まで金利が変わらないため、返済計画を立てやすいのが最大のメリットです。

フラット35の主な特徴(2026年4月時点の一般的な水準):

  • 融資期間:15年以上35年以内
  • 対象物件:融資対象住宅の技術基準を満たすもの
  • 省エネ基準適合住宅は金利引下げ(フラット35S)の対象

変動 vs 固定の比較表

項目 変動金利 固定金利(フラット35)
金利水準(目安) 低め 高め
金利変動リスク 借り手が負う なし
返済計画の立てやすさ 難しい 立てやすい
向いているケース 収入が高く、金利上昇に耐えられる 長期の安定を重視、リスク回避志向
繰上げ返済手数料 無料が多い フラット35は無料

変動と固定、どちらが総支払額で得か

「過去においては変動金利の方が固定金利より支払総額が少なかった」という事実があります。日本の変動金利は1990年代後半から2024年まで長期にわたって低水準が続いたためです。しかし、将来の金利動向は誰にも予測できません。

住宅金融支援機構のシミュレーションでは、固定金利が変動金利に比べて「割高」に見える時期があっても、金利急上昇局面では固定金利の方が総支払額が少なくなることが示されています。

返済比率——無理のない借入額の目安

**返済比率(返済負担率)**は、年収に対する年間ローン返済額の割合です。住宅ローン審査では返済比率が重要な基準の一つとなっています。

一般的な金融機関の審査基準:

  • 年収400万円未満: 返済比率30%以下
  • 年収400万円以上: 返済比率35%以下

ただし、審査基準を満たしているからといって、実生活で無理なく返済できるとは限りません。金融庁の「顧客本位の業務運営」に関するガイドラインでは、金融機関が借り手の返済能力を適切に評価するよう求めています。

実務上、可処分所得(手取り年収)に対する返済比率を25%以内に収めることを推奨する専門家が多いです。

計算例: 年収500万円(手取り約390万円)の場合

返済比率(手取りベース) 年間返済額の上限 月々返済額の上限
20% 約78万円 約6.5万円
25% 約97.5万円 約8.1万円
30% 約117万円 約9.75万円

年収500万円、借入3,000万円、金利1.5%、35年元利均等返済の場合、月々の返済額は約91,855円。この場合の返済比率(手取りベース)は約28.3%となり、やや高めですが許容範囲内です。

繰上げ返済の効果——早期返済で利息をいくら減らせるか

繰上げ返済とは、定期的な返済とは別に、まとまった金額を返済に充てることで、元金を減らす方法です。繰上げ返済によって、残りの返済期間が短縮される(期間短縮型)か、月々の返済額が減る(返済額軽減型)のどちらかを選択できます。

期間短縮型の方が総利息削減効果が大きいのが原則です。

繰上げ返済のシミュレーション

条件: 借入3,000万円、金利1.5%(固定)、35年元利均等返済(月々約91,855円)、10年後に100万円を繰上げ返済

繰上げ返済の種類 期間短縮 返済額軽減
残りの返済期間 約33ヶ月短縮(2年9ヶ月) 変化なし(25年)
月々返済額 変化なし(約91,855円) 約88,453円(月約3,400円減)
総利息削減額 約114.8万円 約47.5万円

期間短縮型は返済額軽減型の約2.4倍の利息削減効果があります。ただし、生活防衛資金(最低3〜6ヶ月分の生活費)を確保した上で繰上げ返済を行うことが重要です。

住宅ローン計算ツールでは、繰上げ返済後の総返済額もシミュレーションできます。

住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、年末ローン残高の一定割合が所得税・住民税から控除される制度です(国税庁による制度)。

2024〜2025年入居(一般的な新築住宅)の主な内容:

項目 内容
控除率 年末ローン残高の0.7%
控除期間 13年間(新築住宅・2024年以降入居)
借入限度額 省エネ性能等に応じて2,000万〜4,500万円
控除対象 所得税(残額は翌年の住民税からも控除)
所得要件 合計所得金額2,000万円以下

計算例: 年末ローン残高3,000万円の場合

年間控除額 = 3,000万円 × 0.7% = 21万円
13年間の最大控除額 = 21万円 × 13年 = 273万円

ただし、所得税額を上限とするため、実際の控除額は所得によって異なります。また、一定の省エネ基準を満たさない住宅は2024年以降の入居から借入限度額が縮小される点に注意が必要です(国税庁「住宅ローン控除」特設ページ参照)。

まとめ——住宅ローン選択のポイント

住宅ローンは長期にわたる大きな金融契約です。以下のポイントを参考に、自身の状況に合った選択をしてください。

返済方式の選択:

  • 返済初期の支払いを抑えたい → 元利均等返済
  • 総支払額を抑えたい・返済初期でも余裕がある → 元金均等返済

金利タイプの選択:

  • 金利上昇リスクを取れる・早期完済の見込みがある → 変動金利
  • 長期の返済計画を安定させたい・リスクを回避したい → 固定金利(フラット35)

返済比率の目安:

  • 手取り年収の25%以内を目標に

繰上げ返済:

  • 期間短縮型の方が利息削減効果が高い
  • 生活防衛資金確保後に実施

まず住宅ローン計算ツールローン計算ツールで、ご自身の借入条件での返済額・総返済額を試算してみてください。複数のパターンを比較することで、最適な選択肢が見えてきます。


参考文献


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の推奨や個別の投資・ローン・税務アドバイスを提供するものではありません。住宅ローンの選択・契約にあたっては、金融機関や税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。記載の数値・制度内容は執筆時点のものであり、法令改正等により変更される場合があります。